明治後期、大正、昭和はじめの映画の草創期。映画には音は無く、「活動弁士(活弁)」と呼ばれる語り部がいました。「活動弁士」はスクリーンの横に立ち、生演奏と共に、巧みな話術でセリフやト書きを独自の台本に仕立て語ります。テレビのない時代、それは最高の娯楽で活動弁士はスターでした。現在の映画のスタイル・トーキー映画が出現すると減少し、活躍している活動弁士は日本国内で10名ほどしかいないと言われています。
そこで、100年以上の映画製作興行の歴史を持つ松竹だからこその特別な映画体験イベントを開催!
会場は、今年開業100周年を迎える伝統ある映画館・丸の内ピカデリー(※)。キャストは、7月13日は声優の福山潤と遊佐浩二、7月14日は声優の森久保祥太郎と吉野裕行、7月15日は上村祐翔と北川尚弥。アニメや吹き替え、朗読劇や舞台と多岐にわたる分野で大活躍中で、幅広い年齢層からの人気と高い実力を持つ豪華キャストが2人1組で登壇。無声映画の名作、小津安二郎監督の『青春の夢いまいづこ』の活弁に挑戦します!
※丸の内ピカデリーの前身である芝居小屋「邦楽座」は、今から100年前の1924年7月に開業しました。
19世紀の終わり、撮影技術の発明により人の動きを記録できる音のない映画、サイレント映画(無声映画)が誕生しました。海外ではピアノやオーケストラの伴奏で上映され、日本ではストーリーテラーである活動弁士(活弁)が誕生し、和楽器や管楽器とともに上映されました。無声映画は日本映画業界の礎を作った伝統文化であり、音のない絵の世界は、どんな映像表現よりも観客の想像力をかきたてる上映形態でした。しかし現在は、音のある映画であるトーキー映画が主流となり、無声映画の上映は貴重な機会と言えます。
1932年(昭和7年)に公開された、小津安二郎第25作目・29歳の監督作品。
会社を経営する父を持ち裕福な学生であったが、突然の父親の死により学生時代を奪われ若社長となる堀野哲夫。学生時代からの友人であるが、華やかな性質の堀野と対照的に寡黙で不器用に生きる苦学生の斎木太一郎。この物語は二人の男をめぐる人間模様をコメディカルに描いた作品です。
堀野と斎木は、学生時代から友人として仲が良かったが、就職難の斎木は、堀野が社長を務める会社に口をきいてもらい、入社をすることとなります。友人関係から一変。社長と平社員という立場に変わる二人。そんな二人は学生時代から、実はベーカリーで働く娘のお繁に同時に恋をしていました。恋のライバルでもあると知った二人。恋か、友情か。はたまた立場か。果たしてどうなる!?
【キャスト】
堀野哲夫:江川宇礼雄
ベーカリーの娘・お繁:田中絹代
斎木太一郎:齋藤達雄
【スタッフ】
原作・脚色:野田高梧
監督:小津安二郎
2024年 | 7月13日(土) 7月14日(日) 7月15日(月祝) |
① 13:00~ ② 16:30~ ① 13:00~ ② 16:30~ ① 13:00~ ② 16:30~ |
主催:松竹 イノベーション推進部
脚色・監修 :片岡一郎、坂本頼光