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丸の内ピカデリー100周年記念 浪漫活弁シネマ ~映画『青春の夢いまいづこ』篇~ 2024年7月13日(土)、7月14日(日)丸の内ピカデリーにて開催!

「浪漫活弁シネマ ~映画『青春の夢いまいづこ』篇~」
オフィシャルレポート

7月13日(土)~7月15日(月祝)の3日間、丸の内ピカデリー2にて「浪漫活弁シネマ ~映画『青春の夢いまいづこ』篇~」が開催されました。

明治後期、大正、昭和はじめの映画の草創期。映画には音は無く、「活動弁士(活弁)」と呼ばれる語り部がいました。活動弁士はスクリーンの横に立ち、生演奏と共に、巧みな話術でセリフやト書きを独自の台本に仕立て語ります。ゆえに、同じ映画でも活動弁士が違えば全く違う作品になるのが活弁の魅力の一つです。

本企画「浪漫活弁シネマ ~映画『青春の夢いまいづこ』篇~』は3日間日替わりのキャストが出演。各組毎に、現役の活動弁士である片岡一郎氏と坂本頼光氏がそれぞれに監修・指導回を担いましたので各組毎の特色が発揮される公演となりました。

映画上映前の前説。初日出演の福山潤、遊佐浩二は、まるで昭和初期にタイムスリップしたような感覚に陥るほどに活動弁士然とした朗々たる前説を、2日目出演の森久保祥太郎と吉野裕行は、「肩の力を抜いて楽しんで」と初めて無声映画をご覧になるお客様の緊張感漂う会場の雰囲気を温めるような前説を、そして3日目の上村祐翔と北川尚弥は、『青春の夢いまいづこ』が公開となった当時の時代背景を丁寧に説明しお客様が作品にすっと入っていけるような前説を披露。三者三様の幕開けとなりました。

一人13~17役を演じる分ける圧巻の活弁披露!

1932年(昭和7年)に公開された、小津安二郎第25作目・29歳の監督作品である映画『青春の夢いまいづこ』。会社を経営する父を持ち裕福な学生であったが、突然の父親の死により学生時代を奪われ若社長となる堀野哲夫。学生時代からの友人であるが、華やかな性質の堀野と対照的に寡黙で不器用に生きる苦学生の斎木太一郎。この物語は二人の男をめぐる人間模様をコメディカルに描いた作品です。

斎木太一郎、語り部、お繁役など全 13 役、堀野哲夫をはじめ悪友・熊田、島崎ほか花嫁候補のユリ子役など全17 役と、ナレーションを含めた老若男女の数多の役を2人だけで演じ切りました。演技のプロフェッショナルの面々が、さすがの力量で演じ分ける様はまさに圧巻。会場の観客が思わず息を飲むような緊迫感あふれる掛け合いが、情緒溢れるモノクロの無声映画に合わせて披露され、約90分間の本編終了後には熱気に包まれた会場で拍手喝采が鳴り響きました。

緊張感から解き放たれたような
朗らかな雰囲気で盛り上がるアフタートーク』

本編終了後はアフタートークが開催されました。緊張感漂う活弁披露中から一変し、朗らかな雰囲気で会場は盛り上がりました。

7月13日(土)

遊佐「今回は初めての経験をさせていただきました。台詞一つ一つを掘り下げていくと(映像に合わせるのが)間に合わなくなるんですよね。重要な点を絞り、そこを力点としつつ複数の役をテンポよく演じ分けることを心掛けました。お客様には是非、活動弁士さんの公演も楽しんでいただいて、活弁という伝統芸能をより盛り上げていけたらと思っております。」

福山「本番を終えて、お客様皆さんと一緒に作り上げたような感覚を味わっております。普段アニメーションや洋画の吹き替えで声をあてていますが、同じようなことをやっているはずなのに全く違っていて、「映像から受けた自分の感覚」を表現するという初心にかえるような刺激をもらえました。」

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7月14日(日)

吉野「監修の片岡さんから「声優のスキルをもって新しい活弁の形を模索したい、披露していただきたい」と仰っていただいたのでとても安心して挑戦することが出来ました。活弁は演じられる活動弁士さんによってまったく違う作品になるので、是非皆さんにも他の方の活弁を見てほしいですし、もっと多くの作品に触れてほしいと思います。」

森久保「小津作品の独特な間と時代のスピード感が現代と全く異なり新鮮でした!我々の職業病で自分が担当している役の口が動いているとどうしても音をいれたくなってしまいますが、片岡さんから「引き算で演じるのが活弁」と指導を頂きました。今回、小津監督作品のファンの方もご覧になっていると聞き、非常に背筋が伸びました。またこのような機会があれば是非参加させてほしいと思っております。」

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7月15日(月祝)

北川「3日間の稽古含め、貴重な経験をさせていただいた4日間でした。無声映画に触れることも、活弁をすることも初めてだったのでとても緊張しましたが、終わった今、俳優として一皮剥けたように感じています。技術的な意味で掴めたというより、上村さんと脚色・監修の片岡さんと、3人で一緒に作品を作れたことで成長できたなと。是非また別の作品で活弁をさせていただきたいと思っています。」

上村「3日間という短い期間ながらも丁寧に稽古を重ねて、今こうしてやっと形にできて皆さんにお届けできたのがとても嬉しいです。無声映画、活弁という素晴らしい日本の作品、文化に触れさせていただいて僕にとっても貴重な体験となりました。今回のこの体験をもって自分の畑でもある声優業にも生かしていきたいです。」

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